デザイナー
Marie-Hélène de Taillac
ブリオレット、トルマリン、カルセドニー…
初めてのジュエリー・コレクションを1996年に発表すると、マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック はこれまでの堅苦しかった宝飾界に、革命をまき起こしました。まだほとんどの女性が“本物”のジュエリーを身につけることは難しい、と感じていたこの頃、 “スタイリッシュ”と“宝飾”は、かみあわないものだったのです。
色への情熱に駆りたたれ、宝石と旅に魅せられて、マリーエレーヌ・ ドゥ・タイヤックは遂にあるスタイルを生み出しました。石自体を主役として引き立てるというそのスタイルは、直ちに成功をおさめ、ニューヨークのバーニー ズ、ロンドンのブラウンズ、パリのコレットなどが、早速彼女のジュエリーを買い付けました。
マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックがキャリアを スタートしたのは、ロンドンのモード界です。ジュエリー・デザイナーのディニー・ホール、クチュリエのヴィクター・エーデルシュタイン、そして帽子デザイ ナーのフィリップ・トレイシーと仕事を共にすること、14年間。石と色という本来の情熱にやっと立ち返ったのは、その後のことでした。
そし て、運命の時がやってきます。マハラジャの時代にさかのぼる伝統的な手法をもつ、インドの最高峰の職人たちとの出会い。ここでマリーエレーヌ・ドゥ・タイ ヤックは、それまでずっと探し求めていたものを見つけました。特別な石と、確かなクラフツマンシップです。今ではすっかり有名になったその大胆な石の“組 み合わせ”を、彼女は今でもインドで続けています。
そしてある日、彼女のちょっとした衝動から、本来ダイヤモンドにしか適用
されないしずく型のブリオレット・カットが、カラー・ストーンにも使われ
るようになりました。
”貴石”"半貴石”という保守的な差別には迎合せず、次々と宝飾界の常識を破
る彼女。ダイヤモンドとルビー、エメラルド、サファイアだけのジュエリー
創りには飽き足らない彼女は、せっかくの驚く程美しいカラー・パレットを
呈するジェムストーンに手を出さないことはない、と考えました。
こうして、一目でそれとわかる独自のスタイルは生まれたのです。
マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤックは、初の旗艦店である東京に続き、翌2004年には、パリのサンジェルマン・デ・プレにもブティックをオープンしました。
そして2013年、ニューヨークの高級店街、マディソン・アヴェニューに待望のショップがオープンしました。
また2014年には、マリーエレーヌ ドゥ タイヤックを象徴する初期のモデル“カボション”のブルーカルセドニーのリングと共に、“スカーフ”ネックレスが、パリ装飾美術館の所蔵作品となりました。